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住まい手見学訪問。

昨日は妙高高原へオーナーさんのご協力の元、設計検討中の方をお連れして住まいの様子を見学させていただきました。
日頃から床に蜜蝋ワックスを塗っている住まいは、竣工から2年が経とうとする今、さらに美しい色づきをしていて、お連れした方達はびっくり。
窓枠などの木部も新品とは違う色づき方に、落ち着きが出てきて徐々に空間に馴染んできている模様。
経年美化していく住まいはやはり気持ちがいい。

この時期の妙高高原はとても気持ちがよく、最高の季節でした。
施工例:つなげあう高原の住まい
住まい手見学訪問。_f0325671_09371676.jpg

新築検討されている方にリノベーションした住まいを見学していただいた今回。
初めは「えっ?リノベーションでしょ?新築建てたいんだけど…」って思われたかもしれませんが、正直新築もリノベーションも考え方に大きな違いがなく、制限もありません。
新築でも土地と周辺環境によって家が決まるのと同様、もともとある骨格によって家が決まるので、どちらも制限具合は同じぐらいだと作り手としては感じています。
どちらかというと空間の作り方、空間の使い方、空間のつながりから感じられる心地よさが重要であって、平面上(〇〇畳などという大きさの固定観念)の大きさと人間の感覚の大きさの違いを感じてもらえるといいのです。
そうすると、自分の住まいの大きさと比較して「これでいい」と感じられると思います。
大きくないのに広がりを感じるということが、家づくりでは大切なことだと思います。
今回の住まいはリノベーションのため、もともと住まわれていたオーナーさんご家族こそ、その点の一番の理解者です。

実は今回はプロの方にもお見せ致しました。
プロ目線で言えば、天井高さの設定がとても気になるところだったようで。
2m10cmを多く採用している暮らしの工房の空間を体験してみたい(若干半信半疑?笑)と。
プロこそ数字の空間把握が出来やすいので天井高さの数字を聞くと、固定観念が強く「本当に⁉︎ムリだろう…圧迫感ありすぎで窮屈すぎで」となるのですが、空間に身を置いた瞬間に固定観念も消え去るのが早くて、「なんでこんなに広く感じるのだろう…ここのつながりやこの仕掛けが要因か?」などと数字の感覚と人の感覚誤差の修正をすぐさまにして、自分の空間体験としてとらえていました。

家づくりをするときには、イメージが想像出来ることが大事だと思います。
これは施主となる素人でも、作り手となるプロでも。
そこで難しいのがイメージの共有だと思うのですが、イメージ出来るというのは勝手に膨らむものではなく、今までの空間体験がイメージとなって浮かび上がります。それ以上は天才以外ありません。
普通の人は圧倒的に空間体験が少ないのでイメージが出来にくい。
この差を少しでも埋めるのが、説明であったり、スケッチであったり、実際に体験してもらったり。
それでも難しいようで、よく「カタチになってきて、ようやく説明が理解出来るようになった。途中からイメージ出来ないから、任せておけば問題ないぐらいに思ってた。」と言われます。
それだけ空間をイメージするのは難しいことです。

私は設計中よく、使い方と暮らし方を聞きます。必要な大きさは聞きません。
一般的には大きさが先に来ると思いますが、上記の通り、大きさの感覚は固定観念のイメージが強すぎてイマイチあてにならないのです。
寝室はどんなベッドで、ダイニングは何人で…収納は何を納めるのか?和室はどんな使い方をするのか?などなど。
その使い方やモノによって最適なサイズを割り当てることが、プロとしての設計の役割だと思っています。

施主自身がイメージ出来ることも大事ですが、限界があるのも事実。
少し作り手に委ねると住み心地のいい住まいに近づくと思います。
ただ、いきなり全てを委ねるには怖すぎますよね(笑)
ですから、家づくりを考えている人は、早めにいろいろなことを作り手に相談した方がいいですよ。
作り手がどんな人で、どんな考えを持っているのか、どんな家を作っているのか?空間体験を自分の中でストックしなくても、プロはみな大なり小なりその体験をストックして仕事をしています。
そのストックを共有することが家づくりであると思います。
今ではネット環境でも様々な考えに触れることができるし、自ら調べやすい環境です。
広く一般的な家づくりの知識を知るためのネット活用よりは、会社の、人の考え方や想いを知るために活用されるといいと思います。

他社も同じだと思いますが、暮らしの工房でもいつでも相談を受け付けております。
弊社の場合、営業を行なっていない(やっている時間がない…)ので、ご相談に来られた後も基本的に放置状態です。(それでいいのか?笑)お客様からアクションを起こさない限りは、見学会の案内程度が送られて来るだけです。
「手取り足とり家づくりのお手伝いをして、ゆっくりお待ちください」というなんでもやる会社でもなく、一緒になって家づくりを進めていく会社です。
その代わりご相談頂いた折には、私の中にあるストックはフル活用して提供致しますし、住まいの考え方についてとことんお話致します。
それがたとえ弊社自身が携わらなくても、住み心地のいい住まいが増えてくれれば、弊社が家づくりを通して目指したい社会の一歩になりますので…

by kurashi-no-kobo | 2017-06-29 08:00 | 仕事の風景


新潟県上越市で住まいをつくる暮らしの工房の、家づくり、暮らしづくりのあれこれや日常の記録


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